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俺の言葉を遮って、言葉を重ねる菜奈。
完全に煽ってきている。
これに乗ったら負けだと分かっていても、こいつの頼みを断ることが、どうしても出来なかった。
「……分かったよ、行けばいいんだろ、行けば」
諦めて、大きくため息を吐く。
「いいですよ、嫌だったら無理しなくても」
この後に及んでこんなことを言う。今さら断れない事を分かっていながら。
「無理なんかしてない。観覧車だろうがジェットコースターだろうが何でも乗ってやる」
「ほんとですか?言いましたね?」
「ああ、言った」
「じゃあお化け屋敷もぜひ行きましょうね」
忘れていた、お化け屋敷があった。
「いや、お化け屋敷はダメだ。この前の映画で勘弁してくれ」
ゴールデンウィーク明け、得意先に行って映画の話をすると、嬉しそうに食いついてきた事を思い出す。
仕事の話と違って目を輝かせて話す、物品担当の人はまさかの、次のホラー映画も勧めてきた。
流石に勘弁してほしかったので、何とか誤魔化して切り抜けたけれど。
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