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もうホラー系は懲り懲りだ。 「まあ、それは行ってから考えましょ」 「お化け屋敷は行かないぞ」 「まあまあ」 「まあまあじゃない。行かない」 「まあまあ」 「繰り返すな」 「まあまあ」 終わらない、くだらないやり取りが続く。 気が付けば腹一杯になり、しっかりデザートも食べ終えていた。 かなりの時間滞在している気がする。 お会計を終えて、店を出た。 夏が近づいている夜は、少し暑くなっていた。 寒いよりは暑い方が好きなので、暑くなるのはウェルカムだ。 「毎度ご馳走になってしまってすみません」 車に乗り込んで発進させた直後、菜奈が言う。 「ちゃんと律儀にお礼を言うところは、後輩らしいな」 どんなに生意気な態度でも、お礼なんかはきちっとしてる。 そういうところの線引きがちゃんとしてるのは、好感が持てる。 「それじゃまるで、それ以外は後輩っぽくないみたいじゃないですか」 「そういう意味で言ったからな」 いつも冷静なイメージがある菜奈だけど、なんだか今日は少しはしゃいでいるように見えた。
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