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「そう、赤田商事。俺の親父が社長」 偉そうに胸を張るナンパ男赤田は、ちっともカッコよくない。 「社長に見放されないよう、ナンパじゃなくて仕事頑張ってくださいね」 さらに歩くスピードを速める。 さすがについてこなくなったナンパ男赤田は、立ち止まっていた。 「また声かけるから、次はご飯行こうねーー」 周りに聞こえるから、叫ぶのはやめてほしい。 やっぱり会社で遥香を待っておくべきだったなぁと思う。 何も知らない遥香は5分後にやってきた。 「ごめん、遅くなった!」 「お疲れ様。やっぱり会社で待っておけばよかった」 「なになに、なんかあったの?」 「なんか、変な人にナンパされた」 さっきもらった名刺を渡す。捨てるのは申し訳けれど、あげるのは問題ない。 「へー、赤田商事。いいんじゃない?かっこよかった?」 「ナンパするぐらいだから、かっこいいんじゃない?」 他人事のように話す。そもそも、ナンパしてくるような男に、ついていきたくはない。
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