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遥香は確信を持った顔で私を見る。
そんな真っ直ぐ見られると、目が泳いでしまう。
心当たりがあるから尚更だ。
「まあまあ、とりあえず料理注文しよ」
なんとか話を逸らさないものだろうかと、メニューを渡す。
「……そんなに隠すってことは、もしかして、不倫?」
話は逸らせそうにない。それどころか、全く別の方向に話が進みそうだ。
「違うよ、そんなんじゃない」
「そんなんじゃ、って事はやっぱり何かあるんだねー」
メニューを見ながら言う遥香。
遥香のペースにうまく乗せられているような気がした。
適当にそれぞれ、料理を注文する。
といっても、いつも頼むのはだいたい同じだ。
でもまあ、それが結局良かったりする。
「……ごめん、今は言えないや」
別に、係長とは何もない。付き合ってるわけでもないし、やましいことがあるわけじゃない。
でも、プライベートで合っているのは確かだし、明日遊園地にふたりで行くのも確か。
「ふーん。それはいつ言えるようになるの?」
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