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返事を打とうとした時、遥香がニヤニヤして話しかけてきた。 「違うよ。彼氏なんていません」 そんな表情変わってたかな。もしかしたら、ちょっとにやけてしまったかもしれない。 「ふーん。随分と嬉しそうだったけどなー」 酔ってきた遥香は、少し意地悪な女の子になっていた。 「そんな事ないです、普通です」 「いいなー、楽しそうで」 「遥香はなんかそういう話ないの?」 と話しつつ「相変わらず残業大変ですね。1週間お疲れ様です」と返事を打った。 「ねぇー、なんで菜奈はいっぱいそういう話があるのに、私にはないのー」 「いや、私も別にそういうんじゃないよ、ただ……」 「ただ?」 「いや、ごめん。今はやめとく」 危ない、もう少しで話してしまうところだった。 係長から返事が来た。 「お互いにな。道重に捕まったからちょっと飲んでくる」 道重とは、係長の同期だ。役職で言えば主任だったと思う。 「私も遥香に捕まってます。お互いあまり飲み過ぎないようにしましょう」
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