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伊藤係長は私の方を見る。そう聞かれると、このタイミングでは断れない。 けれどこんな状況でボロが出ないか心配で、正直飲み会どころではない。 道重主任は、後ろで少し緊張した表情を見せながら立っていた。 「はい、お二人が良ければどうぞ」 「じゃあ……せっかくだしお邪魔するか」 伊藤係長が後ろの道重主任の方を見る。 「……ああ。その前に、ちょっと来い」 そう言って道重主任は、伊藤係長を引っ張って一旦店の外に出た。 「あのふたり、仲良いよね」 ふたりが出て行ったのを見て、遥香は言う。 ドアのガラス越しに、ふたりが肩を組んで話しているのが見えた。 「同期だしね」 「そうだっけ?」 「そうだよ、同期で同い年だったと思う」 「へー。道重主任ってさ、なんか可愛いよね」 遥香の言葉とは思えず、分かりやすい二度見をしてしまう。 「どうしたの、急に」 「いや、伊藤係長ってなんかもうめちゃくちゃイケメンでしょ?道重主任はカッコいい中に可愛さがあるなーって思っただけ」
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