540人が本棚に入れています
本棚に追加
伊藤係長は私の方を見る。そう聞かれると、このタイミングでは断れない。
けれどこんな状況でボロが出ないか心配で、正直飲み会どころではない。
道重主任は、後ろで少し緊張した表情を見せながら立っていた。
「はい、お二人が良ければどうぞ」
「じゃあ……せっかくだしお邪魔するか」
伊藤係長が後ろの道重主任の方を見る。
「……ああ。その前に、ちょっと来い」
そう言って道重主任は、伊藤係長を引っ張って一旦店の外に出た。
「あのふたり、仲良いよね」
ふたりが出て行ったのを見て、遥香は言う。
ドアのガラス越しに、ふたりが肩を組んで話しているのが見えた。
「同期だしね」
「そうだっけ?」
「そうだよ、同期で同い年だったと思う」
「へー。道重主任ってさ、なんか可愛いよね」
遥香の言葉とは思えず、分かりやすい二度見をしてしまう。
「どうしたの、急に」
「いや、伊藤係長ってなんかもうめちゃくちゃイケメンでしょ?道重主任はカッコいい中に可愛さがあるなーって思っただけ」
最初のコメントを投稿しよう!