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遥香が社内の人をそんな風に言うのは初めてだったので、かなり意外だ。 社内の人は興味がないもんだと思ってた。 「へー。私、席外そっか?」 「何言ってんの、ダメ。それに、好きとかじゃないよ。ちょっといいなと思っただけだから」 自分の恋愛になると、途端に消極的になる遥香。 人にはもっと積極的にいかないと、とか何とかアドバイスするくせに。 店の外では、まだふたりが話していた。 「いいなと思ったんだったら、二人で話しなよ。係長には上手く言ってあげるから」 「えー、でも……いきなり二人になったら主任も迷惑じゃない?」 乙女な遥香は、世界一可愛い。 普段明るくて、元気なキャラなだけに、奥手になると倍可愛く見えた。 「迷惑じゃないから、大丈夫。あっ、来たよ」 店の入り口を見ると、話を終えてこっちに向かってくる所だった。 「ねえ、ほんとに帰るの?」 急に不安そうな顔になる遥香。私を問い詰めていた時とは大違いだ。 「30分くらいしたら、係長連れてお店出るから」  
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