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係長に直接言う機会はなさそうだから、スマホを使おう。 「ごめんごめん、長くなったね」 謝りながら係長が戻ってきた。 係長は私の横に座って、道重主任が遥香の横に座った。 最近係長とは、ふたりっきりでお酒を飲む事が多く、係長といるときに誰が他の人がいる事に、違和感があった。 「何飲まれます?」 横に置いてあったメニューをふたりに向けて見せる。 「俺はビールかな。シゲは?どうせライムサワーだろ」 「ライムサワーある?」 「残念ながら……ある」 「残念がるな。あってよかっただろ」 漫才のようなやり取りをしながら、注文をするふたり。 「珍しいもの飲むんですね」 一杯目からライムサワーを飲む人は、あまり居ない気がする。 「二十歳になった時、家族みんなで居酒屋に行ってな。その時におばあちゃんがやたらとライムサワー勧めてきてさ、仕方なく飲んでたんだけど、それからずっと一杯目はライムサワーだな」 「顔に似合って可愛いんですね」
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