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遥香が何気なく言った一言で、係長の苦労がわかった。
こういう風に周りから完璧を求められるんだろうなということ。
そして付き合って、勝手に幻滅されて……ビンタされて。
「……でも、常に完璧に見られてるってしんどいですよね」
言うつもりもなかった言葉が、気が付けば口から零れ出ていた。
三人が少し驚いた表情で私を見ていた。
「あ、いや……完璧な人って元々点数が高いから、減点方式で見られがちだと思うんです。だから、完璧ってプレッシャーじゃないのかなって思った、だけ……です」
こんなに係長について話すつもりもなかったので、恥ずかしくなる。
「俺自身、完璧なつもりは勿論ないからね。減点方式にされるとちょっと辛いかな」
遥香と道重主任もいるから、私に話しかけるときも、会社と同じ話し方だ。
「よし、じゃあ俺が採点してやる」
意気込んで道重主任が言う。
「お前に採点されるほど俺は落ちぶれてない」
「おい、どういう意味だ。俺採点だと、友哉なんて9点だ」
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