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自然に係長がカバンを持って立ち上がる。
「えっ、お前も帰るのかよ」
心底驚いた表情の道重主任。途中で抜けることは知らなかったんだろう。
「女の子ひとりで帰すわけにもいかないだろ。高木さん、悪いけどこいつにもうちょい付き合っててもらっていい?飲み足りないみたいだから」
拍手したくなるような、自然な答え方。
飲み始めて30分では、確かに飲み足りないに違いない。お腹も空いてるだろうし。
「あっ、はい。私はいいですけど……」
遥香は道重主任の様子を伺う。
嫌がられたらどうしようとか、考えているに違いない。
「じゃあ、ふたりで飲むか。遥香ちゃんもまだ飲むでしょ?」
いつから遥香ちゃんと呼んでいたのか、最初から遥香ちゃん呼びだったのか。
「はいっ。つれない2人はほっといて飲みましょ」
割と乗り気な主任見て嬉しくなったのか、遥香もテンションが上がっていた。
「遥香、飲み過ぎて迷惑かけたらダメだよ」
「わかってますー」
口を尖らせる遥香。主任の前だし、変な飲み方はしないか。
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