540人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前も、帰りちゃんと送っていけよ」
そう言いながら、係長は財布からお金を出していた。
「分かってるって。おっ、いいのかこんなに」
一万円札を受け取った道重主任は、子どものようにはしゃいでいた。
「お前にやるんじゃない。足りなかったらちゃんと奢ってやれよ」
「当たり前だろ。任せとけって」
今からふたりなのに、一万を超えるとは思えないけれど。
「じゃあね、遥香。主任も、遥香の事よろしくお願いします。調子に乗ると飲みすぎるんで」
うんうんと頷く主任。
「小嶋さんも、横の変態に襲われないように気をつけてね」
と言われて、横を見る。
「誰が変態だ。高木さん、襲われないように気をつけてね」
「はいっ、気をつけまーす」
「ちょっと待って。そこはせめて主任を信じてますとか言ってくれない?」
「じゃあ、そうですね……信じるかどうかは今後の態度次第ですねっ」
「え、なんで俺がこんな立場になってるの」
「それは自分で考えてくださいよー」
私たちの存在なんか、すっかり忘れてふたりで楽しむふたり。
最初のコメントを投稿しよう!