1

16/20

540人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
運動不足ですよと身体中が言っている。 ちょっと走っただけで、足がガクガクして、心臓は破裂しそうなくらい苦しい。 追いかけてこないのを確認して、立ち止まる。 それにしても、凄いものを目撃してしまった。 酔いが完全にさめたけれど、急に走ったので、気持ち悪くなってくる。 フラフラしながら、アパートの2階へと歩く。 伊藤係長が女性に思いっきりビンタされていた。 そんな事ってありえるだろうか。でも小嶋と叫んでいた。 あの声は、あの顔は、伊藤係長だ。 何があったら、伊藤係長がそうなるんだろうか。 女性にも紳士的で、仕事も出来て、欠点なんて無さそうな係長が、全力でビンタをくらっていた。 あの状況は、あまりにも信じがたい。 悪いことをしたわけではないけれど、ヤバいと思ってしまう。 週明け、どんな顔をして係長と接すればいいんだろう。 喜怒哀楽が激しい方じゃないから、表情を変えずに黙々と仕事はできる。 そういうのは得意だ。 ただ、気まずい。土日で全てリセットして、何もなかったことにできたらいいのに。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加