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運動不足ですよと身体中が言っている。
ちょっと走っただけで、足がガクガクして、心臓は破裂しそうなくらい苦しい。
追いかけてこないのを確認して、立ち止まる。
それにしても、凄いものを目撃してしまった。
酔いが完全にさめたけれど、急に走ったので、気持ち悪くなってくる。
フラフラしながら、アパートの2階へと歩く。
伊藤係長が女性に思いっきりビンタされていた。
そんな事ってありえるだろうか。でも小嶋と叫んでいた。
あの声は、あの顔は、伊藤係長だ。
何があったら、伊藤係長がそうなるんだろうか。
女性にも紳士的で、仕事も出来て、欠点なんて無さそうな係長が、全力でビンタをくらっていた。
あの状況は、あまりにも信じがたい。
悪いことをしたわけではないけれど、ヤバいと思ってしまう。
週明け、どんな顔をして係長と接すればいいんだろう。
喜怒哀楽が激しい方じゃないから、表情を変えずに黙々と仕事はできる。
そういうのは得意だ。
ただ、気まずい。土日で全てリセットして、何もなかったことにできたらいいのに。
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