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3つしか離れていない駅には、すぐに到着した。 一番近いラーメン屋は、家とは反対側の線路を挟んで向かいにあった。 「ここのラーメン屋意外と美味いぞ」 チェーン店ではない、街中にポツンとあるラーメン屋。 黄色の看板に赤い暖簾。よくある見た目のお店だ。 「意外ってお店に失礼ですよ」 「メンマが意外と美味い」 意外と、を強調する係長。 「友哉さんもこういうところ、来るんですね。意外です」 対抗してやろうと思って、意外を使ってみたけれど、何故か照れた様子の係長。 「お前な……仕事終わりに友哉さんって呼ぶな。なんか、色々ダメな気がする」 そういえば、無意識に名前で呼んでしまった。 会社から離れたから、安心してしまったのかもしれない。 「いいじゃないですか、もう仕事終わりましたし。会社からも離れたんですから」 「いやまあ、それはそうなんだけど……」 「……ダメ、ですか?」 困ったような顔の友哉さんを見て、不安になる。 名前で呼んだらまずかっただろうか。 「いや、ダメではないけど……」
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