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「……遊園地、苦手ですもんね」 「ああ。誰とでも行くわけじゃないぞ。菜奈とだったら、楽しめそうだなと思うからチャレンジするんだ」 暗い夜道を男女がふたり並んで歩く。 雑音が少なく、友哉さんの声だけが耳に入ってくる。 「友哉さんが怖がらずに、楽しめるよう頑張りますね」 「まあ……将来結婚して子どもできたら、家族で遊園地行きたいしな。父親が一番ビビってたら情けないだろ」 「そうですかね。怖がってる父親を見るのも、新鮮で面白い気がしますけど」 「嫌だね。俺は威厳のある父親になりたい。情けない姿は絶対に見せない」 「無理ですよ。だって私はもう、これだけ情けない姿見てますもん」 「子どもに言わなきゃ大丈夫だ」 「子どもは鋭いから、すぐバレますよ」 「やっぱりバレるかな。かっこいい父親になりたいんだけどな」 「大丈夫です、そんな無理しなくても充分かっこいいですから」 こんな会話、他の人が聞いたらどう思うだろう。 やっぱり、付き合ってると思われるかな。 
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