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まあそんな事はできるわけもなく、土日の私は伊藤係長の事で頭がいっぱいだった。
時間が経てば経つほど、あれは幻だったんじゃないかと思う。
それが段々真実に思えてきて、少し希望を持ったまま月曜日を迎える。
その希望が幻だったと気がつくのは、仕事中だ。
その日に限って、遥香はいない。多分もう一本後の電車だ。
職場について、自分の席に着く。
伊藤係長の席は、振り返らないと見えない。
そーっと振り返るけれど、伊藤係長はいない。
まだきていないのか、朝早くに得意先に出発したのか。
どちらにせよ、ラッキーだ。
少し安心したまま、仕事をこなす。
先週に引き続き、月曜日をハイテンションで乗り切ろうとする遥香を眺めつつ、パソコンに向かう。
伊藤係長からメールが届いたのは、お昼を少し過ぎたあたり。
プライベートでメールを使うことも少なくなったけれど、社内携帯ではよくメールを使う。
仕事の頼みだったり、電話してくる営業の人もいれば、メールする人様々だ。
基本的に伊藤係長は電話してくるので、メールは珍しかった。
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