1

17/20

540人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
まあそんな事はできるわけもなく、土日の私は伊藤係長の事で頭がいっぱいだった。 時間が経てば経つほど、あれは幻だったんじゃないかと思う。 それが段々真実に思えてきて、少し希望を持ったまま月曜日を迎える。 その希望が幻だったと気がつくのは、仕事中だ。 その日に限って、遥香はいない。多分もう一本後の電車だ。 職場について、自分の席に着く。 伊藤係長の席は、振り返らないと見えない。 そーっと振り返るけれど、伊藤係長はいない。 まだきていないのか、朝早くに得意先に出発したのか。 どちらにせよ、ラッキーだ。 少し安心したまま、仕事をこなす。 先週に引き続き、月曜日をハイテンションで乗り切ろうとする遥香を眺めつつ、パソコンに向かう。 伊藤係長からメールが届いたのは、お昼を少し過ぎたあたり。 プライベートでメールを使うことも少なくなったけれど、社内携帯ではよくメールを使う。 仕事の頼みだったり、電話してくる営業の人もいれば、メールする人様々だ。 基本的に伊藤係長は電話してくるので、メールは珍しかった。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加