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「いいよ。その代わり、ビンタの件は言うなよ」 ビンタだけはどうしてもバレたくないみたい。 「大丈夫です。それだけは絶対に言いません」 「よし、ならいい。きっかけを聞かれたら、家が近いから仲良くなったとか、適当にごまかしといてくれ」 「了解です、任してください」 車は高速道路をひた走る。遅れる事なく、予想通りの時間に着きそうだった。 一度、お手洗いのためにサービスエリアに寄る。 私がお手洗いに行っている間、友哉さんがたこ焼きを買って頬張っていた。 「また食べてる。吐いても知りませんからね」 ベンチに座る友哉さんの、横に私も座る。 「けどここのたこ焼きめちゃくちゃ美味いぞ。食ってみ」 そう言って、爪楊枝でひとつ取って食べさせてくる。 いわゆるあーんというやつをしようとしている。 周りからの視線とか、色々大丈夫だろうか、とあれこれ考えているうちに、たこ焼きはやってきて、結局食べてしまった。 こういうことを自然にする人なんだなぁと思うと、やっぱりいろんな人にモテるのも頷けた。
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