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乗り気じゃないのに、奢ってもらうのは気がひける。 流石にここは払いたかった。私が振り回してるんだし。 「ちょっとぐらい歳上にカッコつけさせろ。3つも下の女の子に奢られるのは恥ずかしい」 「……ありがとうございます。私が無理矢理連れてきちゃったのに」 結局、何かと奢ってもらってばかりだなと思う。 申し訳ない気持ちが込み上げてくる。 「俺も再度言っとくけどな、本当に嫌だったら断ってるからな。無理矢理じゃなくて、楽しむために来たんだ」 この人と一緒にいたら、どんな事でも楽しめそうな気がした。 そりゃあモテるよね。こんなに完璧だもん。 友哉さんを見て幻滅したとか、そういう事を言う人は、多分ちゃんと見てないんだと思う。 こんなに素敵な人なのに。 チケットを買って、中に入る。 初めて見る遊園地は、異世界に来たような感覚だ。 いつもとは何もかも違う、不思議な空間。 どれもこれも見上げるほど高い乗り物ばかりなので、空を見上げる。
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