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気がつけば、友哉さんの手を取って走り出していた。 勢いって恐ろしい。 手を握っていることに気がついたのは、アトラクションの前に着いたときた。 さすがに一番人気のアトラクションだけあって、かなりの列が出来ていた。 列に並んだ時に、握っている手を思わず離す。 「あ、すみません。なんかテンション上がっちゃって」 「いいよ、別に。そのまま繋いどくか?」 爽やかな笑顔の友哉さん。 出来れば繋いでいたいのが本音だったけれど、それは色々まずい。 ジェットコースターに乗る前に、心臓が保ちそうにない。 「……友哉さんが繋いでいたいなら、いいですよ」 相変わらず、可愛くない発言だなと思う。 強がって、無理して、最終的に後悔する。 こういうところが、嫌われる原因なんだろうなと思ったりする。 繋ぎたいならそう言えばいいのに、と分かってはいるけれど、そう簡単にはいかない。 「……やめとこう。今緊張して手汗が酷いから」 なんだか、らしくない逃げ方をする。 嫌なら嫌って言えばいいのに、と少し拗ねる。
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