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拗ねている自分を自覚して、ふと考える。 私って、やっぱり友哉さんのこと、好きなんだろうか。 何となく、気になっているのは自覚していた。 けれど、好きなの?と聞かれると、自信を持って首を縦に振れる自信もなかった。 上手くいく筈のない恋愛に、飛び込む勇気がなく、手前で立ち止まってる感じ。 好きになったら、おしまいな気がした。 「緊張してます?乗る時怖かったら手貸してあげますよ」 「……これ、死なないだろうな。本当に大丈夫か」 乗る前から、分かりやすく怯える友哉さん。 滅多に見れないレアな姿だ。 「さあー、どうでしょう?死ぬかもですねー」 「……帰る」 列を離れて逃げようとする友哉さん。ちょっと言いすぎた。 「あー、待ってください、冗談です!ひとりにしないでください」 これにひとりで乗るなんて、そんな恥ずかしいことはない。 「お前な、死ぬとか言うな。こんな所で死にたくない」 「すみません、そんなにビビリだとは思わなくて」
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