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明らかに声のトーンが落ちる友哉さん。 列は徐々に進んではいるけれど、まだ少し乗るまでには時間がある。 時間がある分、会話も弾む。 乗り物に乗らずとも、友哉さんと話しているだけで、楽しかった。 「ビビってますね」 「いや、ビビってない」 「無理しなくていいんですよ?まあ、か弱い女の子ひとりで、お化け屋敷に行くことになっちゃいますけど」 「お前……性格悪いぞ」 確かに、自分でも思います。ちょっとからかいすぎて、嫌な女になってるよね。 「友哉さんの滅多に見れない姿を、より引き出そうかなと思いまして」 少し考え込んだ後、覚悟したように頷く友哉さん。 「よしっ、じゃあ行ってやろう。その迷路お化け屋敷に」 「おおっ、本当ですか?男らしいですね」 「当たり前だ。俺を誰だと思ってるんだ」 「伊藤友哉さんですね」 「その通りだが、そういうことじゃない」 「あっ、次ですよ。ジェットコースターがすぐそこです」
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