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景色がぐるぐる回って、あっという間に一周して元に戻ってきていた。 呆然とした表情の友哉さんを見て、心配より先に、思わず笑ってしまう。 「大丈夫ですか?」 と笑いながら言う。予想以上にビビって声を出していた友哉さん。 あんなに大きい声を聞いたのは初めてだ。 「……余裕だった」 「嘘つかないでください。めちゃくちゃ叫んでましたよ」 ジェットコースターを降りて、出口に向かった。 何分乗っていたか分からないけれど、めちゃくちゃ楽しかった。 初めての感覚ばかりで、ハマってしまいそうだ。 「叫んでたのは、楽しんでたんだ。内心は余裕だった」 次の目的地は決まってないけれど、とりあえず歩く。 「登ってる途中、私の手掴んで、目瞑ってたくせによく言いますね」 「うるさいぞ。とにかく余裕だった。富士山も綺麗だった」 「確かに富士山綺麗でしたね。最後に観覧車からもう一回見たいです」 「おおっ、そりゃいいな。夕日が綺麗に見える頃に、観覧車乗ろう」
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