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「初遊園地ですから。大人でもはしゃぎます」 「レアな菜奈を見れて満足だ。いつもどこでもクールだと思ってたから」 友哉さんといると、自分が自分でないような、ふわふわした気分になる。 私ってなんだろう?とか、哲学的な事まで頭に浮かんできてしまう。 「人生で初めて、こんなにはしゃいだかもしれないです」 「……お互いまだまだお子ちゃまって事にしとこう」 「そうですね、そろそろ行きましょうか。お化け屋敷が待ってます」 席を立って、支払いをして店を出る。 ここも、私の支払いを全力で阻止して、友哉さんが払ってくれた。 「全部払っていただいて、本当にすみません」 「気にすんな。俺が奢りたくて奢ってるんだから」 陽の光が友哉さんを照らして、神々しく見えた。 今まで付き合ってきた人は、ほんとに見る目がないなぁとつくづく思う。 どこに幻滅する要素があるんだろう。 「……ありがとうございます。お化け屋敷が待ってますよ、行きましょう!」 「いや、お化け屋敷は俺たちのことなんて待ってないぞ」
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