6(2)

23/53
前へ
/406ページ
次へ
「うるさいですよ、つべこべ言わずに行きましょう」 お化け屋敷に向かう。 夕方になって、人が少し減ったような気がするけれど、いざお化け屋敷に着くと、結構な人が並んでいた。 「やっぱり人気なだけあって、並んでますね」 「わざわざ怖い所に突っ込んでいくやつの神経が分からん」 ホラー映画であれだけ怖がっていたから、お化け屋敷なんて、もっと嫌に違いない。 「大丈夫です、行ってみれば分かります。並びましょ」 手を引っ張って、列の一番後ろに並ぶ。 入口と出口が隣同士になっていて、入っていく人の様子と、出てくる人の様子がよくわかった。 暫く眺めていると、出てくる人は皆んな猛ダッシュで飛び出してきていた。 「なんであんなに走って出てくるんだ」 同じ事を思っていたのか、友哉さんが私に聞いてきた。 「さあ……お化けに全力で追いかけられてるんじゃないですか?」 適当に言ってみる。今のところそれしか思いつかないし。 「ちょっと待て。そんな危ないお化け屋敷なのか、ここは」 怖がっているからか、とりあえずなんでも信じる友哉さん。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加