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「そうですね。迷路で、お化けが出口まで追いかけてくるお化け屋敷です」 そう考えると、なかなかやばいお化け屋敷だなと思う。 私も、普通に声を出してしまうかもしれない。 「いざとなったら途中で抜けれるんだろうな」 「できないに決まってるじゃないですか。出れるのは出口オンリーですよ」 実際はもちろんできる。途中で抜けれないお化け屋敷なんて、怖すぎて入る勇気さえもてない。 やっぱり私の言葉を信じている友哉さんは、ジェットコースターと同じく帰ろうとする。 「ちょっ、待ってくださいよ。男らしくないですよ、ここまで来て」 「うるさい、男らしさなんてクソ喰らえだ」 仕事の時とは、別人のような口調。 やっぱり二重人格だ。クソ喰らえだなんて、係長は言わない。 係長と友哉さんは、違う人なのかもしれない。 「威厳のある父親になりたいのはどこの誰でしたっけ?」 今のところ、威厳は全くと言っていいほどない。 子どもにバカにされる絵が、容易に想像できた。
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