540人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですね。迷路で、お化けが出口まで追いかけてくるお化け屋敷です」
そう考えると、なかなかやばいお化け屋敷だなと思う。
私も、普通に声を出してしまうかもしれない。
「いざとなったら途中で抜けれるんだろうな」
「できないに決まってるじゃないですか。出れるのは出口オンリーですよ」
実際はもちろんできる。途中で抜けれないお化け屋敷なんて、怖すぎて入る勇気さえもてない。
やっぱり私の言葉を信じている友哉さんは、ジェットコースターと同じく帰ろうとする。
「ちょっ、待ってくださいよ。男らしくないですよ、ここまで来て」
「うるさい、男らしさなんてクソ喰らえだ」
仕事の時とは、別人のような口調。
やっぱり二重人格だ。クソ喰らえだなんて、係長は言わない。
係長と友哉さんは、違う人なのかもしれない。
「威厳のある父親になりたいのはどこの誰でしたっけ?」
今のところ、威厳は全くと言っていいほどない。
子どもにバカにされる絵が、容易に想像できた。
最初のコメントを投稿しよう!