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友哉さんの帰ろうとしていた足が止まった。 なんだか、友哉さんの扱いが少し分かった気がする。 小さい子どもを相手にしているような感覚。 仕事とのギャップがありすぎるけれど、それはそれで、私は好きだ。 「……威厳たっぷりだろ」 私の横に戻ってきて言う。 「威厳のかけらもありません。まだ私の方が威厳ありますよ」 威厳と言いすぎて、威厳ってなんだろう?と思ってしまった。 風格とかそういうこと、かな? いまいちちゃんと威厳って言葉の意味が分かっていない。 「もういい、父親に威厳なんていらない。大事なのは愛情だ」 「良いこと言いますね。大丈夫です、友哉さんはきっといい父親になります」 カッコいいし、お茶目なところはあるけれど仕事はできるし、頼れるところは頼れるし。 子どもからしても、自慢のお父さんになるに違いない。 「……そうか?」 「はい。子どもに好かれると思います」 「ありがとう。俺より、菜奈の方がいいお母さんになりそうだけどな」
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