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「でこびんは罰ゲームだ」 「私、罰受けるようなことしてないです」 「した。今度自分を卑下したら、その度にでこぴんだからな」 それは、嫌だ。おでこがまだ少しヒリヒリする。 割と本気ででこぴんされたような気がする。 「……ありがとうございます」 つくづく思う。こんなに褒めてくれるのは、友哉さんくらい。 お世辞は言わないタイプだというのを鵜呑みにすれば、本気で褒めてくれている。 「ドMだな。そんなにでこぴんが嬉しかったか?」 「違いますよ。私には私の良いところがあるって言ってくれた事です」 「ああ、そっちか。菜奈は、一緒にいて楽しいからな。それだけでも充分良いところだろ」 「……そんなに褒めても、お化け屋敷は行きますからね」 友哉さんの顔を直視できない。 すぐ横に友哉さんの大きな胸がある。飛び込んでいきたい衝動に駆られた。 私の心臓の音が、聞こえてないかなと不安になる。それほど、私はドキドキしていた。 「お化け屋敷は人生でこれっきりだからな」
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