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「いつか子どもができたら、一緒に行ってあげてください」 「子どもも、俺に似てお化けは苦手なはずだ」 「ダメですよ、ビビりにならないようにちゃんと育ててください」 「誰がビビりだ。ほっといても、俺似のイケメンに育つ」 かなりのナルシスト発言だけど、友哉さんならなんだか許せる。 遊園地に来る前は、並んでいる時に、会話が止まって気まずくならないかなと思っていたけれど、全くそんな事にならなくてホッとする。 実際来てみると会話も弾むし、楽しい事だらけだ。 それに、会話がなくても、友哉さんとなら気まずくないような気がした。 無言の空間も、それはそれで楽しいとすら思えた。 長い間並んでいた列も、ようやく前が居なくなった。 「長かったですね。ようやく念願のお化け屋敷ですよ」 「……ほんとに行くのか?」 明らかに腰が引けている友哉さん。ジェットコースターの時より、怯えているかもしれない。 「当たり前です。お化けに会いにいきましょ!」
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