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普通に考えたら、かなりやばい状況だよね。 どういう関係に見えるか、周りの人に聞けば、かなりの高確率でカップルか夫婦ですよね?と言われるに違いない。 「説明の途中でお化けが出てくるかもしれない」 「怖がりすぎですよ」 「怖がりすぎて損はない」 もう何を言ってるのかいまいち分からない。 身を縮こまらせて歩く姿は、おじいちゃんのようだ。 係員さんの言う通り右に曲がって、ドアを開けると、少し明るくなっていた。 もうひとりいた係員さんに促されて、個室に入った。 どうやら、このお化け屋敷の説明映像があるらしい。 横で座る友哉さんは、大きく深呼吸をしていた。 「ホラー映画が始まるんじゃないですから、大丈夫ですよ」 「いや、この雰囲気はもうホラー映画と同じだろ」 確かに、感覚的には似たようなものかもしれない。 前にあるテレビが、急に映像を流し始めた。 座っていても、私の手を握っている友哉さん。 握られている手にドキドキして、映像にあまり集中できなかった。
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