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朝の7時40分ちょうどに家を出る。
社会人になって今年で4年目、もう朝のルーティンは固まっていて、家を出るのはいつもこの時間だ。
段々と無駄なことが削ぎ落とされていって、毎日同じことの繰り返しだ。
最初はコンタクトだったけれど、それも無駄な気がして、2年目からはずっと眼鏡での出社が当たり前になっていた。
髪もセットが面倒なので、寝癖を治すだけ。
気合の抜け切った姿で、電車に乗って会社に向かう。
いつも見かける人が、いつもの場所で見かける。まさにいつも通り。
お腹の出た中年男性、スマホゲームに熱中する学生、見たことある顔がいつもの車両にいる。
3つ先の駅にある勤務先には、あっという間に着くから、座れる場合でも座らない。
どちらかというと、立ってる方が楽だったりする。
朝の通勤ラッシュに押されて押されて、流されるまま改札を出る。
セットしてない髪の毛が、ボサボサになっていた。
セットしてないから別にいいんだけど。
「おはよっ」
手で髪を整えている時に、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、高木遥香が爽やかに立っていた。
朝なのによくそんな元気はつらつな顔ができるなぁと感心する。
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