6(2)

31/53
前へ
/406ページ
次へ
映像は、このお化け屋敷に関する、エピソードのようなものだった。 廃校をそのまま使っているらしいこの建物には、当時使っていた用具がそのまま残っているんだとか。 廃校になる前、ひとりの女子生徒がいじめにより自殺。 その霊が今も彷徨っているとか、なんとか。 本当なのか嘘なのか分からない。多分嘘だけれど、中々リアルではあった。 恐怖を煽るには十分な映像に違いない。 迷う事なかれ、迷えば一生抜け出せん。という言葉で締められた映像が終わると、後ろのドアが、係員さんによって開けられた。 「ぬわうぁ!」 よく分からない驚いた声が、横から聞こえた。 友哉さんが後ろのドアの音にびっくりしたのだろうか。 「まだ始まってないのに、そんな大きな声出さないでくださいよ。もう友哉さんの負けですよ」 先に声を出した方の負けというルールの勝負は、今のでもう決着がついたような気がする。 「うるさい、負けてない。まだお化け屋敷に入ってもないからな」
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加