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「ほら、行きますよ。次声出したら負けですからね」 「おい、そもそも廃校をこんなお化け屋敷にしたらバチが当たるぞ」 「そうですね、当たるときは一緒ですからね」 子どもをあやすような話し方になってしまっている。 「大体だな、あんなありきたりな設定でびびらそうとするのはタチが悪い。あんなの子どもだま……うわっ!!!!」 友哉さんが声を出してなかったら、私が出していたかもしれない。 横から勢いよく風が吹いてきた。 怖いというより、びっくりした。 「風とかそういうのはやめようぜ。お化け関係ないだろ」 まだ入り口から少し歩いただけなのに、もう声出しまくりだし、怖いのか常に喋る友哉さん。 「でも、声出したから友哉さんの負けですよ」 「いや、俺は負けてない。あれは風が悪い」 「風に負けたんです。つまり私の勝ちです」 「屁理屈だ。俺はお化けにびびった訳じゃ……ぬわぁぁぁ!!」 友哉さんの横から、現れたお化けにしっかりと怯える友哉さん。
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