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直前で道が分かれているなんて、性格の悪いことをしてくる可能性だってある。
お化け屋敷に入ってから、ずっと繋いでいる手を、握り直す。
お互いの手汗が滲んで、少し滑る。
手汗が酷いから、手を繋ぐのはやめておこうと言われた事を思い出す。
今はそんな事を気にする余裕もないのかな。
登場するお化けのひとりひとりに、しっかり怯える友哉さん。
「……手汗凄いですけど、大丈夫ですか?」
手を繋いだままで大丈夫ですか、とビビりまくってますけど、このまま進んでも大丈夫ですか、のふたつの意味を込めて言う。
「大丈夫じゃない。ちゃんと握っててくれ」
あ、握ってていいんだ。
余裕のない友哉さんは、これまたレアな姿で、可愛い。
大きな体が、今は小さく見えた。
少し進むと、今度はしっかりとふたつに道が分かれていた。
「菜奈。どっちだ」
「んー、どっちでしょうね。多分これを抜けたら終わりだと思うんですけど……」
奥を覗いても、真っ暗で何も見えないので、どっちがゴールに続いてるのか、見当もつかない。
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