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友哉さんに引っ張られて、走る。 後ろを振り返ると、お化けの方がスピードが速いのか、距離を詰めてきていた。 お化けが全力で追いかけてくるという、私の適当な話は当たっていたみたい。 「おいおいっ!本当に追いかけてくるのか!」 「あははっ、本当に追いかけてくるとは思いませでしたー」 なんだか、楽しい。 怖いという感情はあまりなくて、ただ楽しい。 「馬鹿、笑ってる場合か!」 息を切らしながら全力で走り、勢いよく出口を飛び出た。 二人とも暫く、膝に手をついて、息を整える。 「出口から……勢いよく出てきたのは、こういう事だったんですね」 息がなかなか整わない。結構な距離を走った気がした。 「あんなに追いかけてくるお化け、普通いないぞ」 「いやーーー、中々スリリングでしたね」 「スリリング過ぎる。寿命が五年は縮んだ」 「これでもかってくらい、叫んでましたもんね」 「菜奈の代わりに俺が叫んであげたぞ」 「はいはい、ありがとうございます。なんか飲みますか?さすがにちょっと疲れましたね」
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