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友哉さんと一緒にこれて、本当に良かった。 「菜奈の楽しそうな顔見れて、俺も幸せだよ。暫くお化け屋敷は勘弁だけどな」 苦笑いの友哉さん。 ああ、なんだか心臓がきゅっと締め付けられるような、そんな感覚。 この感覚は、非常にまずい。 自覚してしまっている、私がいる。 「最後に、観覧車乗って終わりにしましょうか」 立ち上がる私を、友哉さんは少し驚いた表情で見つめる。 「ジェットコースターはいいのか?」 「はい、もう時間も時間ですし。その代わり、私のお願いをひとつ聞いてもらいます」 友哉さんも立ち上がって、観覧車に向かって歩き出す。 園内の人も、かなり少なくなっていた。 楽しい時間が、終わろうとしている寂しさが、急に込み上げてきた。 「それはいいけど、お願いってなんだ?」 「それは今から考えます。決まったら言いますね」 実際は、一緒に遊園地に来れただけで満足。 これ以上のお願いなんてなかったけれど、会話の流れでそうなってしまう。
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