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考えて言葉を発しないと、好きって言ってしまいそうだ。 この時間が永遠に続けばいいのにな、と本気で思った。 ぼーっとしていると、前からシャッター音が聞こえた。 スマホで、ニヤニヤしながら私を撮影する友哉さん。 「ちょっと、何撮ってるんですか」 「菜奈」 「今の絶対変な顔でした」 「大丈夫、可愛いから」 そう言って、画面を見せてくる。 なんとも言えない、微妙な顔。笑顔でもなく、変顔でもない。すまし顔でぼーっとしている。 どっちかというと、もちろん可愛くない。 「全然可愛くないですよ、ブスです」 「おい、自分でブスとか言うな。めちゃくちゃ可愛いぞ」 あんまり可愛い可愛いと言われ慣れてないので、好きな人に言われると、尚更恥ずかしい。 「可愛く……ないです。ていうか、あんまり可愛いって言わないでください」 ダメだ、顔がどんどん赤くなっていくのがわかる。 めちゃくちゃ恥ずかしい。 「なんでだ。可愛いんだからいいだろ」   「良くないです、恥ずかしいです。」
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