6(2)

45/53
前へ
/406ページ
次へ
「照れる菜奈も、レアで悪くない」 「何言ってるんですか。そんなの見ても仕方ないです」 なんだか悔しくなって、私もスマホを取り出して、前に座る友哉さんを撮った。 嫌がる素振りがあまりない友哉さんは、写真写りもバッチリだ。 写真の中の友哉さんは、微笑んでいた。 優しく笑うその姿に、見惚れてしまう。 「ちゃんと撮れたか」 「はい、カッコいいですよ」 スマホを見せる。しばらく見て、満足そうに頷いた。 「いいだろう。待ち受けにしとけ」 「えー、それはちょっと嫌です。友哉さんが私を待ち受けにするならいいですよ」 「……やめとこう。バカップルみたいになる」 「そうしましょう。そういうのは10代で卒業してます」 10代の時ですら、そんな事してなかったけれど。 付き合ってもいない友哉さんとなんて、あり得ない。恥ずかしすぎる。遥香にバレたら終わりだ。 話していると、いつの間にか観覧車は一周して、下に降りてきていた。 「最後の締めには充分だったな」
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加