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このまま帰してしまったら、明日この事ばかり気になって、何も手につかなくなりそうだった。 「いや……ただ、今日俺が騒ぎまくってたからさ。もっと大人な人と来た方が良かったかなと思って」 心配そうな友哉さんは、仕事の時とは違って、子どものようで可愛い。 胸が締め付けられる。友哉さんに触れたい、という競り上がってきた感情をグッと抑えた。 「意外と心配性ですよね。もっと堂々としてそうなのに」 「……うるさい。初めての遊園地って言われたら、色々考えるだろ。本当に楽しめたかなと思っただけだ」 街灯の少ない私の住んでいるマンション前。 人も少なく、声が響く。 「私言いましたよね。遊園地に入る前、友哉さんがいいって」 「まあ……言ったな」 「……そういう事です」 「そっか……それならいい」 ほっとした柔らかい笑顔の友哉さんは、優しく私の頭を撫でた。 しばらく頭を撫でながら 「……なんか、身長差が良い感じだから、撫でたくなる」 と言った。
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