6(2)

52/53
前へ
/406ページ
次へ
ベット脇に置いてあるスマホが鳴った。 友哉さんからの電話だった。 そういえば、電話はした事がなかった。 一気に緊張して、スマホを取る手が震えた。 「……もしもし」 恐る恐る電話に出る。声が少し裏返った。 「よお」 電話越し聴く友哉さんの声は、なんだか少し低いような気がした。 「……どうしたんですか?」 「んー、特に用事はない。寝てたか?」 電話ってなんだか、ドキドキする。 そして、会いたくなる。 「まだですよ。なんだか眠れなくて」 「……そっか、一緒だな」 歯切れの悪い友哉さん。 「どうしたんですか。もしかして、寂しくなったんですか?」 ほんの軽い冗談のつもりだったけれど、友哉さんは、静かに「うん」と言った。 「寝る前に、菜奈の声が聞きたくなった」 胸が締め付けられる。私の思いが、爆発しそうだ。 今すぐ叫んで、飛んでいきたい。 私も声が聞きたかったです、会いたいですって。 「案外寂しがり屋ですね……私と同じで」 「……一緒だな」
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加