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「菜奈ー!!」
月曜日の朝改札を出ると、すぐに遥香が飛びついてきた。
周りのサラリーマン達が、怪訝そうな顔でこっちを見ていた。
朝から元気でなければ遥香じゃないけれど、よくまあこれだけ、いつも元気にはしゃげるものだ。
「……おはよ」
「どしたの?元気ないね」
「遥香が元気すぎるの。月曜の朝なんて、みんなこんなものだよ」
「ふーん……ねえ、それよりさ。今週金曜日空いてるでしょ!?」
目を輝かせて、私を見る遥香。人生楽しそうで何より。
「うーん……まあ、空いてるといえば、空いてる」
つまり、空いてる。
けれど、どんな内容かは簡単に想像できるから、できれば断りたかった。
「よし、じゃあ先週の話の続きをしっかりと聞かせてもらうからね」
「ああー、そうねぇ。なんだったっけ?」
とりあえずとぼけてみるけれど、遥香には通用しそうになかった。
「ダメです、逃しません。菜奈の恋愛話はしっかり聞かせてもらいます」
好きな人ができたとは言ってないと思うけど、いつの間にかバレている。
「……そうだね。遥香の話も聞かなきゃだしね」
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