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「お疲れ様です。どうぞ」
ドアを開けて、友哉さんを迎え入れる。
「おじゃましまーす……なんか、緊張するな」
靴を脱いで、リビングに向かう。
私の部屋に、友哉さんがいる。
なんだか、いつもとは別の空間に見えた。
「適当に座っててください。すぐ作りますから」
友哉さんを置いて、キッチンに向かって料理を再開する。
手を動かして料理に集中していないと、緊張でおかしくなりそうだった。
「……綺麗にしてるんだな」
友哉さんは座らず、リビングを見渡していた。
「あんまり見ないでくださいよ。恥ずかしいですから」
「でも、菜奈らしい部屋だな」
「そうですか?」
「うん。俺の部屋より100倍綺麗だ」
「友哉さん、掃除とかしなさそうですもんね」
後ろにいる友哉さんに話しかけながら、オムライスを作る。
私が作り出した状況ではあるけれど、未だに信じられなかった。
現実と夢の区別が、つかなくなっているのかと思うほどだ。
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