2

5/18

540人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
お疲れ様といって、お互いに一口飲む。 仕事終わりに飲むビールは美味しいはずなのに、今日は緊張であまり味が分からない。 「と、いう事でだ。この前見た事は会社の人間には内緒で頼む」 やっぱりそうだよね。こんなの社内に知れ渡ったら嫌だよね。 完璧な係長だからこそ、バレたくないはず。 「言いませんよ、大丈夫です」 噂を広められる事はあっても、広める事はない。 「マジで?よかったー、今日その事しか頭になくてさ。人生終わったと思ったわ」 安心している係長は、なんだか少し可愛かった。 そしてやっぱり、社内での雰囲気とは違う気がする。 「大袈裟ですよ。係長に言われなくても、言うつもりありませんでした」 「高木にも言ってないのか?」 「言ってませんよ。遥香に言ったら、あっという間に社内に広まるなーと思って」 やっぱり言わなくて正解だなと思った。遥香はそういうのは言いたくて仕方がないタイプだし。 「ナイス、ファインプレーだ。バレたのが小嶋でよかったよ」 「……なんでビンタされてたんですか?」 もうこの際、聞きたい事は聞いてしまおうと思った。 係長とふたりでご飯なんて、滅多にないだろうし。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加