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親近感を覚えつつ、スマホを閉じる。 結局俺の仕事が終わるまで、電話が来ることはなかった。 そりゃ忙しいだろうし、その日に電話が来ることなんてないだろうとは思っていたので、予想通りだ。 菜奈は定時上がりをしているみたいだった。 仕事を終えて電車に乗っている時、菜奈の顔が無性に見たくなった。 全力で会いたくなったけれど、月曜日も家に行ったのに、平日にこれ以上行けばさすがにウザがられるかもしれない。 ぐっと我慢して、最寄駅に着いた段階で、菜奈に電話をかける。 コール音が少し長めに鳴っていた。電話がつながる前のこの時間が、一番緊張するかもしれない。 「もしもし」 菜奈の落ち着いた声が聞こえる。この声を聞くだけで、一日の疲れが取れる気がした。 「お疲れ様」   「お疲れ様です。相変わらず残業ですね」 「役職が上がると、やる事も増えるからなぁ。仕方ない」 自分の仕事だけ必死にすれば良かった時とは違って、色んな仕事が増えてくる。 それは上の者の仕事なので、仕方ない。
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