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「うーん、ちょっと待ってくださいね」
そう言って、暫く声が聞こえなくなる。
予定を確認しているのだろうか。声が聞こえるまで待つしかなく、ただ無言の時が流れる。
「あのー、本当にごめんなさいなんですけど……」
「空いてなければ、無理しなくて大丈夫ですよ。お忙しいでしょうから」
「一応今週の日曜日なら、お昼過ぎに撮影終わるみたいなんですけど……どうですか？」
さすがに急すぎる誘いなので、躊躇っていたのか、遠慮がちに話す。
日曜は予定が、と断りたかった。
けれどこれを断ってしまえば、次に都合がつくのがいつになるのか分からない。
電話越しの船田さんが、なんだか可哀想に思えてきて、中々先約がありますという一言が出てこなかった。
「いいですよ、じゃあ日曜にしましょうか」
菜奈に会いたかった。けれど、事務長の事を思うと、あまり先延ばしにしたくない気持ちもあった。
ご飯に行って、好きな人がいる事はハッキリ言っておこう。
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