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私が質問すると、係長は苦笑いで飲んでいたビールを置いた。
「お前、意外とズバッと聞いてくるな」
「係長が誤魔化さずに認めるからですよ。違う反応だったら、もっと対応変えてました」
認めてるし、黙っててくれって言われたし、じゃあ詳しく聞こっかなーと思うのは変だろうか。
「あんだけばっちり見られてて、誤魔化すのは無理だろ。声かけたのに逃げられたしな」
「だって、あの状況じゃ無理ですよ」
「止まってくれてたら、小嶋だってこんなに気を使わなくて済んだんだぞ。嫌だろ、俺とふたりの食事なんて」
「それはそうですけど……でも、大丈夫です。なんか、思ってたほど気を使ってない私がいるので」
そう、係長が来るまでは面接みたいに緊張していたものの、話し始めると意外と緊張はしてない。
仕事での係長とは違って、今はなんだか話すのが楽だ。
「生意気だな。係長だぞ、ちょっとは気を使え」
笑う係長には、さっきより余裕が見えた。バレずに済むという安心感かもしれない。
「それで、ビンタされた原因はなんだったんですか?」
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