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「うまいこと話が逸れ始めたんだから、元に戻すなよ」
あからさまに嫌な顔をする係長。
「気になるんですもん。どうせだったら話してくださいよ」
ふかーいため息を吐いた係長は、渋々といった感じで話し出す。
「絶対に誰にも言うなよ」
「言いませんよ。ちゃんと私の中に留めておきます」
「……まあ、簡単に言うと、向こうの勘違いだよ」
「彼女ですか?」
「先週の金曜日までな」
ああ、別れたんだ。そりゃそうか、あの状況から立て直す方が無理がある。
「合コンに誘われる事が多くてな。付き合いでちょくちょく参加する事があったんだ」
係長のグラスはすでに空になっていた。
2杯目を頼むかどうか聞きたいけれど、せっかく話してくれてるので、とりあえず黙っておく。
「面倒だから黙ってたんだよ。彼女に合コンに参加してる事は。嫉妬心が強い奴だからな」
「そしたらバレてビンタですか?」
「まあ……噛み砕いて話せばそんな感じだな。他にも色々、積もり積もっての事なんだろうけど」
「なんか、係長って思ってたよりプライベートはだらしないですね」
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