540人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
「まあな。絶対に言うなよ。言えばパワハラしまくってやる」
「大丈夫です。そんな事しない人だっていうのは、今日で何となく分かりました」
プライベートはともかく、仕事上では完璧な人だ。
パワハラなんて一番気を使う部分に違いない。
ため息を吐いた係長は、気まずそうに頭を掻く。
「小嶋の家は近いのか?ひとりで大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、子どもじゃないんですから」
「夜道に子どもも大人もない。女性はみんな危ないもんだろ」
心配する係長の今考えていることは、なんとなく分かっていた。
「ご心配ありがとうございます。どうせ、送っていきたいけど、家まで着いていってセクハラになったらどうしようとか、そんな事考えてるんでしょう?」
図星の係長は目を逸らす。意外と表情に出やすい人なんだなと思う。
仕事の時はずっと真顔な印象があるけれど。
「そこまで分かってるんなら、もうちょっとやりようがあるだろ」
「だって係長が頑張って気を使ってくれてるのが、なんか面白くて」
最初のコメントを投稿しよう!