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「まあな。絶対に言うなよ。言えばパワハラしまくってやる」 「大丈夫です。そんな事しない人だっていうのは、今日で何となく分かりました」 プライベートはともかく、仕事上では完璧な人だ。 パワハラなんて一番気を使う部分に違いない。 ため息を吐いた係長は、気まずそうに頭を掻く。 「小嶋の家は近いのか?ひとりで大丈夫か?」 「大丈夫ですよ、子どもじゃないんですから」 「夜道に子どもも大人もない。女性はみんな危ないもんだろ」 心配する係長の今考えていることは、なんとなく分かっていた。 「ご心配ありがとうございます。どうせ、送っていきたいけど、家まで着いていってセクハラになったらどうしようとか、そんな事考えてるんでしょう?」 図星の係長は目を逸らす。意外と表情に出やすい人なんだなと思う。 仕事の時はずっと真顔な印象があるけれど。 「そこまで分かってるんなら、もうちょっとやりようがあるだろ」 「だって係長が頑張って気を使ってくれてるのが、なんか面白くて」
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