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今日で一番大きなため息を吐いた係長は、自分のマンションを通り過ぎて歩き出す。 「近くまで送っていく」 「もう充分近いですよ」 係長の後についていくけれど、家を知ってるのはもちろん私なので、追い抜かして前を歩く。 「うるさい、可愛げのないやつだな。そこはありがとうございますでいいんだよ」 「今の可愛げないはセクハラですね」 急に後ろの足音が止まって、私も立ち止まる。 「あんまり上司をいじめるな。それでなくても、俺は小嶋に弱みを握られてるんだぞ」 「大丈夫ですよ、絶対言いませんから」 「頼むぞ、本当に」 再び歩き出す。歩いてみると私と係長の住む場所は本当に近くて、歩いて2分程で着いてしまった。 さすがに係長の住むマンションとは違って、私の所は中々のボロアパートだ。 入社4年目の事務と29歳にして係長になった人とでは、給料が違いすぎる。 「本当に近いな。これだけ近くて、よく今まで会わなかったな」 「これからも出来るだけ会わないようにしたいですね。会っちゃったらまた修羅場に遭遇しちゃいそうなので」
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