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「うん、やっぱりそっちの方がいいと思うよ」
やっぱりとか言わないで。と叫びたくなった。
以前に話してたのがバレてしまう。
係長もまずいと思ったのか、こっそりと口を手で押さえていた。
「伊藤係長ダメですよ、菜奈は。彼氏いますからね」
明るく元気が取り柄の遥香は、細かい会話の中身は気にしない性格なのか、気がついてる様子はなく、ホッとする。
「違う違う、そういうつもりじゃないよ。単純にコンタクトの方がいいと思ったから言っただけだよ」
やっぱりこの前とは話し方が違う。仕事だと丁寧で、優しい。
「伊藤係長が褒めるときは、落としにかかってる時だって噂がありますからね」
「そんなこと言われたら、次から褒めれなくなるからやめてくれ」
「係長、仕事の話はいいんですか?」
なんだかこれ以上係長がこの場にいると、ボロが出てきそうで怖かった。
早く仕事の話をして、自分の席に戻ってくれた方がいい。
「ああ、ごめん。これ発注しといてもらえるかな。ちょっと急ぐから、納期も聞いといてもらえると助かる」
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