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みんな歳を重ねるにつれて、責任が増える仕事をするようになるんだなぁと思うと、私だけ昔から成長していないような気がした。
「凄いね。小さい頃先生ってものすごく大人なイメージがあったけど、雅樹がもうその先生になってるんだもんね」
照れ臭そうに笑う雅樹。
「中身は子どものままだけどね」
「そんな事ないよ。私よりよっぽどしっかりしてるし、先生に向いてると思う」
パスタが運ばれてきたのを機に、会話が少し止まって、口を動かす。
ファミレスで食べるようなパスタよりは、少しだけ高級感のあるお店のパスタは、とても美味しかった。
お昼が少し過ぎていたのもあって、店内に人はまばらだった。
家族が1組いて、子どもの笑い声が聞こえる。
土曜日の昼下がり、子どもの笑い声が店内に響く。
自然と笑みが溢れる。
「これからどうしよっか。菜奈はどこか行きたいところある?」
パスタを食べ終わって、雅樹が聞いてくる。
雅樹は基本的に私の意見を聞いてくれる。
自分の意見ももっと言ってほしいなと思うけれど、それも雅樹の優しさなのかもしれない。
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