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「やっぱり普段と違うなーと思って」 「まあ、一応休日ですから。変ですか?」 「いや、すげー可愛いと思う。スカート似合うな」 お世辞でも、係長に言われて嬉しくない人はいない。 とりあえず、変に思われてなくて安心した。 助手席に促されて、車に乗り込む。 私の好きなグレープフルーツのような匂いがした。 「今日、どこ行くんですか?」 一番気になるところはそれだ。これからどこに行くんだろうか。 「小嶋は、怖いの大丈夫なタイプか?」 「怖いのって、お化けとかそういうのですか?」 「ああ。平気なタイプか?」 「んー、別に得意じゃないですよ。かといって苦手でもないです。まあ、普通です」 どういう意図の質問なのか、いまいちわからない。 「よし、じゃあ大丈夫だな」 少し、嫌な予感がした。 「なんですか、怖いんですけど。どこ行くんですか」 「映画館だ」 「映画館?ホラー映画でも見るんですか?」 「そうだ。今日はホラー映画を一緒に見る日だ」 お化けが出ると噂の現場に行くとか、そういった類のものじゃなくて、少し安心する。
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